卒業証書

卒業式の季節。授業料関連の話題。

 山梨県立増穂商高が授業料などを滞納した昨年度と今年度の卒業生2人から、一度手渡した卒業証書を回収していたことが7日、県教委への取材で分かった。県教委と同高によると、2人は卒業に必要な単位を取得していたが、年間11万8800円の授業料の一部と諸経費を滞納していた。県教委が作成した授業料滞納の対応の手引きには、卒業証書の回収について記載はなく、回収は同高のみで「他の県立高校はやっていない」(県教委)という。
毎日新聞」3月7日11時7分配信から、要約。

 払えないのか払わないのかということ、本人の了解があったかどうかは、今日はおいておく。
 問題に感じたのは、記事中にある「授業料滞納の対応の手引き」。検索してもかかってこない。卒業証書の授与が権利だとすると、「手引き」ではなく、条例に根拠がなければならないはず。そこで関係しそうなのは、「山梨県立学校授業料、入学料及び入学審査料条例」で、第2条2項をみると、「全日制の課程及び専攻科の授業料は、毎月納期限までに年額の十二分の一の額を納付しなければならない。」とあるだけ。罰則規定はない。
 規則になるが、「山梨県立高等学校学則」第27条には、「納付期日後十五日以上経過して、なお、授業料を納付しないときは、校長は出席停止を命ずることがある」。出席停止を命じていればおそらく必要な単位はとれていなかったので、卒業認定にはいたらなかったのだろう。
 しかも、先ほどの学則12条には、「校長は、前条の規定により定められた単位数を修得し、かつ、特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められる者に対して全課程の修了を認定し、本科(全日制の課程にあつては修業年限三年、定時制の課程にあつては修業年限三年以上の課程をいう。以下同じ。)については卒業証書を、専攻科については修了証書を授与する」とある。
 どうみても、同校の判断には、法的な理がなさそう。まず、出席停止命令からはじめるべきということかな。

 おそらく誰かが、一旦授与してもあとで回収すればいい、一旦授与しているので学則12条はクリアできる、なんて言いだしたんだろうね。