評価を評価する

地方交付税に関する事業仕分けを評価してみよう。

新聞報道のように、全員一致で(抜本的)見直しを行うとされた地方交付税にかかる評価者のコメントが公表されている。
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov13kekka/1-18.pdf

まず、18人いるはずの評価者のコメントが14しかない。以下の1つが1人に対応しているとして、4人が発言していないということか。
総論として、もう何年も地方交付税改革の議論があって、これまででている論点と同じようなものが見受けられる。もっと俺のいうことを聞け、ということなんだろうけれども、これまでなぜ「俺のいうこと」を聞いていないのか検討されているのでしょうか。
学問の世界で、「これまで私が何年も主張していますように」なんて言ったら、自節に説得力がないことを反省しなさい、というコメントが返ってくるのに。

以下、各論。

・分かりやすくする。単純化して国が誘導しない。そもそも国が計画を作る必要がない。その前提で規模は拡大する方向。要するに配分の仕組みを抜本的に改革する(概ね1年以内)。
⇒こんな短い文章で、「要するに」とまとめるなら、前段は不要。地方交付税法で作成が義務付けられている地方財政計画を廃止するのと、その内容を改善していくのとは、全然違うと思うんだけど。

・地域間の財源調整は必要であるが、現在の交付金制度が適切であるか疑義がある。国、地方のあり方を含め、抜本的な制度の見直しを早急に行うべきと考える。
⇒この疑義をここ数年議論しているんだけれど。「適切ではない」ことが論証されたのでしょうか。(段階補正や事業費補正など「問題だ」とされたものは既に廃止・縮小されている)

・税の偏在性が的確に是正されながら、地方の財政需要を安定的に確保できる体制を作ることが重要である。
⇒「伝統的な」意見。これが通じるのなら、三位一体改革で地方歳出全体が縮小しているのはなぜ。

・歳出額の算出を適正に行うことは、ほとんど不可能。抜本的な見直しが必要。
⇒でた、「ほとんど不可能」。学術論文で使うとそれだけで失格ものの「トンでも」用語。

・総額には必ず無駄が含まれている。検証して見直すべき。
事業仕分け作業にも必ず無駄が含まれている。検証して見直すべき。

・決算乖離を是正していく方向で考えていくべきではないか。
⇒この間、乖離是正が取り組まれていますが。

・一括交付の制度を今後作っていく。その前に、過剰な手当、報酬、経費等の課題に対して真に国民の納得の得られる内容、規模を追及すべき。
地方交付税を原資にして行政を行うのに、「住民」の納得ではなく、「国民」の納得が必要とは、私は理解ができません。しかも「過剰」って、あなた、議員報酬で一番高いのは東京都議会議員です。

地方財政計画そのものの見直しと規模削減と適正化(一般行政経費や投資的経費をよく吟味して抑制すべき)。交付税特別加算の廃止など仕組みの簡素化。
三位一体改革以降、抑制されていて、しかも包括算定されちゃったから、投資的経費はゼロなんだけど。「交付税特別加算」ぐぐってもでてこないのだけれど、交付税特別会計へ国の一般会計から特別加算する話なら、もうやっていない。

・各種のコスト(地方公務員の給料など)を民間水準に直すべき。
⇒人事委員会勧告では民間水準なんです。議会で条例で決めているのもおかしいのでしょうね。そうそう、実働最低賃金以下であったり、雇用契約書もなく「明日からこなくていいよ」が乱発される、臨時職員の待遇を民間並にしていただける、ということかな。

・地方債の元利償還金に対する交付税措置は、地方財政の計画的運営の支障。
⇒だからもう事業費補正はやっていなんだって。それとも何ですかい、過疎債とか、災害復旧事業などの元利償還金の交付税措置も廃止ということですかな。

・行革のインセンティブを持たす分配の仕組みにしてください。
⇒ごていねいなご指摘ありがとうございます。ですが、地方交付税一般財源ですから、国が計算する基準財政需要額以下に地方自治体が効率的にやれば、その分はほかに「流用」できます。

・インフラ整備への裏負担は全面撤廃。環境保全改革を地方への国家戦略として財政調整のツールとして使う。
⇒一番最初の方と論争してください。「環境保全」という誘導してしまうと、総額が拡大するんでしたよね。

・債券市場が爆発する前(概ね1年内)に、情報開示は読む人が分かる基準で開示すべき。公的会計を民間基準に直すべき。決算は年度が終わってから4ヶ月以内に開示すべき。
⇒「読む人にわかりやすい」はリテラシーですが、「読む人がわかる」というなら、その人に勉強してホシイ。年度末後2ヶ月の出納閉鎖期間(自治法235条の5)、会計管理者は、出納閉鎖後3ヶ月以内に決算を調製する(自治法233条1項)、その後監査委員の審査(同条2項)、議会での決算認定(同条3項)をもっと早めろと。で、どの段階で開示すべきなんでしょう。

・「交付税率」を大幅に引き上げ。包括算定を個別算定に戻す。補正係数を再検討して、人口の少ない自治体を重視すべき。
⇒3番目の方と同じ伝統的な意見ですね。個別算定って、投資的経費を算定することにするのでしょうか。
私もじつは伝統派なんですが、これが少数派なのは何故なのでしょう。