ラブホ難民

中国地方のホテルで先日おきた火災で、お亡くなりになられた方に、哀悼の意を表します。

やはり、と思う記事がでてきた。

 県警は犠牲者の身元を確認しながら氏名や住所を公表していない。現場がラブホテルとしても利用されていたことを理由に「プライバシーに配慮した」と説明する。(中略)火災が起きたホテルは風営法に基づき営業。主にカップルを対象にしていたが、インターネット上ではビジネスマンや長期滞在客も受け入れると宣伝。犠牲となった親子も69歳の母親と44歳の娘で、一般のホテルと同じ感覚で利用していた可能性がある。
(日刊スポーツ5月15日付から抜書。http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20120515-951052.html

と、ここで、タイトルのラブホ難民。ネット検索すると、その本来の目的を達成しようとするがあいにく満室で、周辺をうろついてしまう状態、というものが多い。
 けれど、新しい意味、非正規労働や貧困との関連で、以下のような社会問題として指摘されているところの意味がある。
1)ラブホ従業員として雇用され寝所つきの職を得る、という意味。当事者の「業界」ではうらやましがられるが、低賃金(時給は安く、ひどいところでは仮眠室料みたいなかたちで天引きされてしまう)や待遇の悪さ、もその特徴となっていた。
 変形として、普通はネカフェやマン喫でも、たまにはちょっと贅沢して、靴脱いで足伸ばして寝れるし、お風呂も広いし、カラオケもただだし、という利用もある。
2)アパートを追い出され、住まいとして使う。必ずしも非正規にとどまらない。一般にラブホテルがその本来の目的を果たすビジネスモデルとしては苦労しているので(そのような行為可能年齢層の減少とともに、住環境がそれなりに向上して(?)個室化がすすんだこともある。草食男子が多くなったこともあったりして)、事故現場のように、ビジネス客の利用が始まっている(ホテルのシングルのお風呂では足伸ばせないし、ベッドも必ずダブルですから)。安いので、観光客の利用もありうる(だから、ホテル業界の中では、20部屋クラスのわりにはインターネットでホームページをもっている率が高いように思う)。
 また、「長期滞在」という名の居住もある。シーツ洗わなくてよいという条件で1泊3000円程度に値下げしてもらえれば、光熱水費・テレビ受信料など含めれば、東京や大阪などでは、普通のアパート暮らしとコスパは変わらない(安くなるかもしれない。経営側にとっても、2、3日に1組の定価利用と値下げして毎日利用させることの比較衡量。普通の都市型ホテルも、「昼休憩はじめました」から尚更)。
 ここ重要なのは、住民票がなくても「居住」可能な点。この点で、コスパは悪くても、という選択が行われる。