教育一括交付金

4月7日付け「朝日新聞」に「教育一括交付金」が載っていた。
まず、問題の記事(の一部)
(見出し)地方縛らぬ「教育一括交付金」 文科省、分権へ創設検討
(第1段落)義務教育にかかる予算をめぐり、文部科学省は、地方に対して細かく使途を縛って交付していたのを改め、「教育一括交付金(仮称)」として自由に使えるようにする方向で検討を始めた。自治体の状況に合わせて効果的に使えるようにするためだといい、今年度、制度の具体化を本格的に進める方針だ。
(第2段落)文科省が地方に支出しているのは年間約2兆円。このうち約1.6兆円を教職員の人件費が占めており、文科省は当面、教育現場で子どもたちと直接関係がある残りの分について一括交付を検討する。
(第3段落)地方に渡っている主なものは、▽楽器や地図、テレビ、備品といった教材費(約570億円)▽図書館などに備える本の購入にあてる図書費(約160億円)▽スクールカウンセラー、登下校の安全確保のための警察OBの配置といった学校・家庭・地域の連携事業費(約130億円)など。こうした様々なものを一括して地方に渡すことが想定されている。
(第4段落)実現すれば、例えば教材費や図書費を抑えつつ、不登校の問題に対応するためにスクールカウンセラーを多く配置するなど、個々の学校現場の実情に合った細かな予算対応が可能になる。
(引用終わり。http://www.asahi.com/edu/news/TKY201004070210.html

、それぞれコメント。
まず、見出し。地域主権戦略会議で、文部科学省は「教育一括交付金」(案)を検討といっていたので、まあありうるわな。第1段落も経過なので、まあそうだわな。
第2段落。「文科省が地方に支出している」。。。。まあ、文科省が主管している補助金を、わかりやすく表現すると、こうなるんでしょうねえ。こんなところでツッコんでもしかたがない。
問題の第3段落。地方に渡っている云々。教材費、学校図書館図書整備費って、「一般財源」ではなかったかしら。たとえば、少し古いが、文部科学省学校図書館の現状に関する調査の結果について」平成15年1月29日発表(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20030129001/t20030129001.html)では、「4 学校図書館図書整備費の予算措置の状況」地方交付税算額として平成14年度には平成130億円が措置されている。
つぎのスクールカウンセラー活用事業は国庫補助事業なので、不勉強な私の知らないところで、学校図書館図書費整備事業補助金があるんでしょう。きっと。「ひもつき補助金」を一括交付金にすることに意味があるのであって、すでに一般財源化しているもの(地方交付税の算定にはいっているもの)を一括交付金にするなんてことはないですよね。
そして、最後の第4段落。再び引用。
「実現すれば、例えば教材費や図書費を抑えつつ、不登校の問題に対応するためにスクールカウンセラーを多く配置するなど、個々の学校現場の実情に合った細かな予算対応が可能になる。」
いいことだね、すばらしいね、一括交付金とはそうでなくっちゃ、でも、待てよ。
文部科学省さんは、これまで、こんなことを言っていた。

■ 小・中学校の教材費・旅費等
 昭和60年に一般財源化された小・中学校の教材費・旅費は、措置率が年々低下(教材費:基準財政需要額の73.1パーセント、旅費:教職員一人当たり交付税積算単価の72.1パーセント(平成17年度))しているとともに、各自治体によって整備状況に差が発生。
■ 小・中学校の学校図書館図書費
 学校図書館図書費は、交付税措置されているが、図書整備の目標である学校図書館図書標準の達成率は、平成17年度末現在、小学校約40.1パーセント、中学校約34.9パーセント。また、地方自治体間の整備状況の差も大きく、図書の整備が課題。
中教審教育振興基本計画特別部会第7回会議資料。http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo7/shiryo/07081503/003.htm)。

青池記者の主観なのか、文部科学省の姿勢が変わったのか。さて、どっちでしょう。

ちなみに、9日付けの読売新聞(埼玉版かな)では、こんな記事も。「財政難で本は後回し!?  学校図書交付税 3割は別用途に 09年度小中校」(http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20100408-OYT8T01353.htm)。まあ、こっちも芳村記者の署名入り記事なんだけれども。