高いか低いか、なぜそれが問題なのか

 公務員のためいき(http://otsu.cocolog-nifty.com/tameiki/)さまのところで、公務員人件費について話題が熱くなされている。
地方公務員拾遺物語別館(http://kkmmg.at.webry.info/)さまのところで、盛んにツッコミがいれられているような誤った認識をのぞくと考えられる論点。
1)官民給与格差(国税庁調査でパート等をいれて400万円と、総務省発表の給与水準600万円)を問題にするもの。
 個人の働き方が自由に選べる云々は別にしても、「おまえの変わりはいくらでもいる」として意思に反してパート・臨時・低賃金下にいる方々を底上げするのが筋かなと。マクドナルドなんちゃって店長裁判や首都圏青年ユニオンが有名だけれど、いつくか改善される事案がある。もっとも、必要な職業訓練のないままフリーター10年生が多くなってしまったこの国で、労働環境そのものを改善するには、労働組合の力量ではなく、政治・社会の力が必要ですが。
2)公務員の給与の原資は税金である論。
 給与水準は議会で決めています。一般に激変緩和措置はとられますが任意に決めることができます。ですので実生活で行動に移すべきことであって、その結果、市民世論の多数を占めると、月給10万円代の正規職員が誕生します。てか、臨時的任用とかはなく、ほぼ全員正規任用なのに、ラス指数70〜80台の自治体なんてのも合併を選択しなかったところに多いです。
2−2)公務員の給与は地方交付税が原資である論。
 不交付団体の、たとえば東京都職員が、もっともらうべきである、というのなら、論理としてはまあ納得します。地方財政計画云々の話は、そのうえでの話ですし、私は不交付団体であっても給与水準を確保して当然だと考えますが。。
3)市場原理で決める論。
 大企業や医師は1000万円超の給与でもかまわないのは、相応の仕事をしていて、労働市場上も人気があるからである(供給=求人<需要=求職)という論理なのですが、労働市場上も人気があり、採用試験倍率の高い公務員給与が高いのは当然であるはずですが、そこは人為的に「下げろ」という主張になります。労働力需給だけで給与を決めると、その均衡点は、今より上がってしまうと予想するのは、私だけでしょうか。
4)公務員は仕事をしていないので、下げろ論。
 うちのまちでいえば、職員の1/3くらいは、学校と福祉部門にいます(清掃の収集は民間委託が完了しました)。健常者の生活をしている市民は、学校に関係しない世代になれば、職員は1/3にすることができる、とか言うことができますね。役所だって、住民票とりに行くのは自動車免許更新のときだけだったし(今はなくなったけど)、自分や家族のためにだけ仕事している公務員さんはいないよね。逆にいえば、障害者や高齢者になった際には、自分が支払った税金以上のサービスを受けることができるのだけれど。で、この部分を「既得権」といわれてしまうこともあるんですね。